ハーブティーは 2煎目、3煎目も飲めますか?

一般社団法人 日本フィトセラピー協会 代表理事 池田明子

今回は、よくいただくご質問にお答えするかたちで、フィトセラピーに関する豆知識をご紹介してみたいと思います。

Q:「ハーブティーは、2煎目や3煎目も飲めますか?」

これは本当に、驚くほど多く寄せられる質問です。

ハーブティーを日常に取り入れている方ほど、「せっかくなら最後まで無駄にしたくない!」や、「もう一度お湯を注いでも大丈夫なのだろうか?」と、ふと気になる瞬間があるのだと思います。

結論からお伝えすると、答えはとてもシンプルです。

A:基本的には、「1煎目がいちばん“大切な1杯”」になります。

この言葉だけを聞くと、「じゃあ2煎目や3煎目は意味がないの?」と、残念な気持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、そう急がなくても大丈夫です。そこには、ハーブティーならではの性質と、楽しみ方の違いが関係しています。

ハーブティーの抽出の仕組み

まず、ハーブティーがどのように抽出されているのか、少しだけ仕組みのお話をしましょう。

一般的にハーブティーは、茶葉を発酵・焙煎して作られるお茶(紅茶、烏龍茶など)とは異なり、植物そのもの=葉、花、茎、根、種といった部位をカラカラに乾燥させたものです。そこに熱湯を注ぐことで、ハーブが持つ香りや風味、そして体に働きかけるフィトケミカルが、お湯の中へと溶け出していきます。

このとき、ポイントになるのが「熱」と「最初の抽出」です。

実は、ハーブに含まれる香りの成分や、有効成分の多くは、最初にお湯を注いだ瞬間に、一気に引き出されます。ちょうど、朝いちばんに窓を開けたとき、部屋にたまっていた空気がふわっと外へ流れ出すようなイメージです。

ハーブティーにとっての1煎目は、その「扉が開く瞬間」なのです。

そのため、香りがもっとも豊かに立ち上がり、味わいにも厚みがあり、ハーブ本来の個性を感じやすい、さらにフィトケミカル成分が豊かな、理想的な1杯はやはり1煎目になります。

「ハーブの力をしっかり受け取りたい」「今日はこのお茶で体を整えたい」と思うときは、ぜひこの最初の1杯を、丁寧に味わっていただきたいのです。

とはいえたくさん飲みたい!

では、2煎目、3煎目はどうでしょうか。

結論から言えば、飲んではいけないわけではありません。

むしろ、「もう一度お湯を注いでみたいな」「まだ香りが残っている気がする」と感じるなら、それはとても自然なことです。

ただし、1煎目と同じものを期待すると、少し印象が変わるかもしれません。

2煎目、3煎目になるにつれて、どうしても抽出される成分の量は少なくなっていきます。香りはやわらぎ、味わいも淡くなり、最初の一杯のような力強さは感じにくくなります。とはいえこれは「劣化」ではなく、「変化」と考えていただくとよいでしょう。

例えるなら、1煎目が「主役」だとすれば、2煎目、3煎目は「余韻を楽しむ時間」ともいえるでしょう。

最初は華やかに広がっていた香りが、次第に静まり、植物そのものの素朴な味だけが残っていく。その移ろいを楽しむのも、ハーブティーのひとつの魅力です。

ですから、2煎目、3煎目は、「成分を摂るためのお茶」というよりも、「味わいを楽しむお茶」として向き合うのがおすすめです。

作業の合間に、ほっと一息つきたいとき。

何かを考えながら、ゆっくり時間を過ごしたいとき。

そんな場面では、やさしく薄くなったハーブティーが、むしろ心地よく感じられることもあります。

贅沢な1杯は1煎目を

一方で、「今日は体調を整えたい」「リラックスしたい」「気分を切り替えたい」といった、明確な目的があるときには、やはり1煎目を大切にしてみてください。

お湯の温度や蒸らし時間を守り、香りを感じながら、できれば急がず、ゆっくり飲む。その時間そのものが、ハーブの働きを受け取る準備になります。

ハーブティーは、効率だけで測れるものではありません。

「何回飲めるか」「どれだけ成分が出ているか」よりも、「どんな気持ちで飲むか」「どんな時間を過ごすか」が、とても大切です。

もし、「今日は1煎目を大切にする日」「今日は2煎目までゆっくり楽しむ日」と、その日の自分に合わせて選べたなら、それはもう立派なハーブティーとの付き合い方だと思います。

最後に、もう一度お伝えします。

ハーブの力をしっかり受け取りたいときは、ぜひ1煎目を大切に。そして、2煎目、3煎目は、味わいと余韻を楽しむ時間として、気軽に寄り添わせてあげてください。

1杯のお茶が、あなたの一日をほんの少しやさしくしてくれますように。

池田明子
池田明子
  • 植物療法士/フィトセラピスト
  • ソフィアフィトセラピーカレッジ校長
  • 西九州大学客員教授
  • 一般社団法人日本フィトセラピー協会代表理事
  • 一般社団法人日本ハンドケア協会代表理事
  • 植生工学士

臨床検査技師として病院勤務の経験から伝統医学に興味を持ち、その後ハーブやアロマなどフィトセラピー(植物療法)を学ぶ。 2006年東京自由が丘にて「植物療法士/フィトセラピスト」と「ハンドケアセラピスト」の養成校を設立。全国各地でフィトセラピーやハンドケアの講座を主催。近年は大学や専門学校などとコラボして、認知症予防や介護分野での有効活用の普及をしている。
夫は俳優の梅沢富美男、2女の母。

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