植物に香りがあるのはなぜでしょう
植物は動物のように移動できないため、外敵(病原菌や病害虫)に対して、
自らが揮発性の防虫、抗菌作用がある香り物質=精油を作りだして、身を守っているのです。
大航海時代、ヨーロッパの国々がアジアでのスパイス貿易を盛んにしたことで、シナモンやクローブの木が大量伐採されました。
それにより現地では伝染病が蔓延したのです。芳香植物の乱獲によって起きた悲劇です。
ハワイ諸島ではサンダルウッドの乱獲という歴史も有名です。
「精油」とは?
私たちは大量の植物から芳香物質だけをとりだして、瓶に入れた液体を精油と呼んで使用しています。
精油というものは、本来は植物が普遍的に持つ香り物質ですから、
植物さえがあればどこでもすぐに得ることができます。ただ微量な成分なので、少しだと少ししか香りません。
自然が豊かなところ、たとえば植物の天国ハワイでは草花で芳香浴をします。
ほかのアジアやミクロネシアの温暖な国々では香りを楽しむ時、やはり豊富にある芳香植物そのものを使うことが多いと思います。
つまり自然豊かなところでは、精油を瓶に詰める必要はなく、
植物そのものが作りだすごく微量で貴重な成分を、自然の摂理にかなうように使っている、そんな気がするのです。
ところが、近代文明の発展とともに、香り物質=精油は、大量に生産、消費されるようになりました。
つまり大量の精油瓶が商品化されるようになったのです。
近代文明により、自然から離れるようになった人間の感性が精油瓶を必要としたのでしょうか?
...などとは考えすぎかもしれませんが、
近年、精油を取り巻く環境を見ていると、なぜかこのような考えが浮かんできました。
植物と人との関係性、農業もしかりですが、節度ある感性が必要ですね。
今一度、精油についてしっかりと考え、その使い方についても、注意深く見つめていく時代が来ているようです。
ソフィアのフィトセラピーベーシック講座では、ただ単に植物の活用法を習得するだけではなく、植物と人との関係性なども含めて、私たちの心と体に響く植物療法をお伝えしています。
初めてフィトセラピー(植物療法)を学ぶ方のための講座