真のコミュニケーションを築けるハンドケアは認知症ケアに光明をもたらします。

⾼齢者を含むすべての世代で活⽤を

介護の困難さや⻑期化から、認知症には誰もがかかりたくないものです。しかしながら2025年には、認知症予備軍(MCI)の⼈の数は1300万⼈になると予測されています(*1)。それでも現在では、MCIや初期の認知症と診断されても、14〜44%の確率で正常に⽣活⾏動ができるほどに回復するということです。認知症は、アルツハイマー病と脳⾎管性認知症の混合型の発症⽐率が⾼く、このうち脳⾎管性認知症は、⽣活習慣病との関連があるため、⽣活習慣病の対策は重要になります。MCI や認知症の予防では、①有酸素運動、②栄養管理、③睡眠管理、④コミュニケーションがポイントになります。

認知症は「ご家族の問題が表出する極めて家族的な病気」(*2)と⾔われていますが、介護を受ける側と⾏う側との間に⼼の通い合いなしに、「これがいいからこれをしなさい!」と従わせようと何を行うにしても、本人がやってみようと自発的に⼼を動かすことや、本⼈と家族との真のコミュニケーションが必要です。

ソフィアフィトセラピーカレッジのハンドケアは、①相⼿から信頼を得られたことを確認して向き合い、②会話しながら⼿順を説明して直接⼿に触れ、③安⼼感のある触覚刺激を提供し、④本⾳で語り合えるゆったりとした時間を確保して⾏います。⾃然な流れの中で、対象者と真のコミュニケーションを築けるため、MCIや認知症の⽅への対応として理想的です。

ハンドケアセラピスト認定は、⾼齢になられた⽅にも是⾮修得していただきたい資格です。ハンドケアを⾏った相⼿から「ありがとう」と⾔われ、⾼齢者が家庭や社会で⾃分の役割を⾃覚されることの意義はとても⼤きなものです。真のコミュニケーションを構築しやすいハンドケアの施術法は、⽣活習慣病や認知障害の予防はもちろん、社会を幸福にする根源である⼼の豊かさを育むことにつながります。ぜひ、すべての世代間で活⽤し ていただきたいと期待しています。

*1:2017年 NHK調べ
*2:虎の門病院井桁医師による

小浦 誠吾
小浦 誠吾

⻄九州⼤学リハビリテーション学部⻑として、福祉や介護の学術的分野の第⼀線で活動。認知症の介護園芸療法やフィトセラピー(植物療法)の基礎的研究を⾏う、JHTA ⽇本園芸療法学会 専⾨認定登録園芸療法⼠。ハンドケアやアロマトリートメントなどのタッチケア、フィトセラピーや園芸療法などの⾃然療法を認知症ケアに取り⼊れる試みなど、先進的な論⽂を発表。

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