手から手へ、人から人へ、喜びを伝えたい

私にとって亡くなった父の記憶は「手」。無口だけど優しかった父は、いつも自分の気持ちを握手で示していました。いってらっしゃい!お帰り!頑張れ!日々の、そして節目節目の言葉のかわりが握手でした。そんな思い出からふと自分の手を見つめ、漠然と手に興味が湧いたことから私はハンドケアと出会いました。

ハンドケアセラピストとして私は今、さまざまな活動をしています。高齢者施設でのボランティア、親子イベントや福祉関連のイベントなどに参加して、数えきれない方々と触れ合う機会をいただいています。

手はとても雄弁です。私よりずっと先輩の方の手からは、まさしく人生 の歴史を感じます。ゴツゴツと骨ばりシワがたくさん刻まれた手は、仕事や子育て、家事などの多くをこなしてこられたことを物語っています。

初対面の方と思いがけず深い話になることもしばしばです。戦争で失くされた指に触れさせてくださった方の話を聞いて涙したこともありました。小さくて柔らかい子供の手に触れた時は、これから多くのことを経験して逞しくなるのだと思うと、そっと握りしめ、心の中で幸せを願わずにはいられません。

訪問先の施設では、一度も笑顔を見せたことがなかった方が笑ってくださったり、普段座っていられない方が静かに手をあずけてくださったり。職員さんから驚かれることもよくあります。ハンドケアの素晴らしさを感じ、ハンドケアを伝えられることに大きな喜びを感じます。手から手へ、この喜びを伝えることで、わずかな時間でも心穏やかに過ごしてもらえますように…

癒しの技術・ハンドケアを、多くの方に知っていただきたいと思います。

高田 眞紀
高田 眞紀

ハンドケアマイスターインストラクター/ハンドケアインストラクター

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