看護の現場で、手を通じて心を伝える
かつて勤務していた整形外科病棟には、⼿のこわばりや関節痛のため、⽣活する上で不安を抱えているリウマチ患者様が多くおられました。そんな⽅々の不安や痛みを緩和するとともに、少しでも⼼に寄り添える看護ができないかと考え、私はハンドケアセラピストになろうと思いました。
ソフィアフィトセラピーカレッジでハンドケアの技術を修得した私は早速、リウマチ患者様にハンドケアを⾏いました。すると翌⽇、その患者様は「朝起きたときの⼿のこわばりが和らいでるの!⼿が軽くなって、テレビのリモコンが使えるようになったのよ!またやってもらえると嬉しいわ」と、笑顔を⾒せてくださいました。ハンドケアをすることで少しでも患者様の痛みや不安を癒せ、⼼の⽀えになることが出来てとても嬉しく、“ ⼿を通じて⼼を伝える” とはこういうことなのだと実感できました。
現在私は内科病棟で、糖尿病療養指導⼠として糖尿病患者様の看護を⾏っています。⼈は病気があるだけでもストレスを感じているものですが、表⾯に症状が現れない⽣活習慣病患者様は、他⼈から⾟さを理解されにくいことから、⼼にこわばりを抱えてしまう⽅が少なくありません。糖尿病治療の⼀環として、⼊院をして⾷事や投薬や病気の知識を学んでいただく糖尿病教育⼊院をすると、患者様はそれまでの⽣活を否定されたように感じて、精神的な負担を⾼めてしまいがちです。その上、多くの⽅が「看護師は忙しいから話しかけては迷惑だろう」と思われ、不安やストレスを抱えたままで過ごされているのです。
ハンドケアは看護ケアと同様、患者様の⼼を動かすことができるものです。ある糖尿病患者様にハンドケアを⾏ったところ、「誰にも話していないことなのですが、聞いてもらえますか?」と、不安や悩みを話してくださいました。ハンドケアを通して相⼿との信頼関係が築け、リラックスされたことで⼼を開き、気持ちを打ち明けてくださったのだと思います。このことを機に、その患者様は治療に対して前向きになられ、⾃ら退院時⽬標を⾒いだしていかれました。
これからも、糖尿病患者様に治療継続していただくため、またストレスによって⼼理的緊張の⾼まりを感じている患者様のために、ハンドケアを通じて⼼の負担を軽くして差し上げたいと思っています。