言葉にできない思いを伝えるハンドケア

ハンドケアを始めたきっかけは、父の病気(がん)がわかったことでした。

少しでも痛みやつらさを和らげてあげるために、私にできることはないかと考え、探して見つけたのがソフィアフィトセラピーカレッジのハンドケアだったのです。

ハンドケアセラピストになり、父を看取り、今思うことは、私は父にハンドケアをしてあげたかったのではなく、父に触れていたかったのだということです。父亡き今も自分の手には、父の手の感触や大きさ、重さ、温かさがずっと記憶されているのです。そして父を癒していたつもりが、自分自身が癒されていたことを知り、手と手を通じてこんな思い出を作ってくれた父とハンドケアに深く感謝しています。

その後、ハンドケアインストラクターを目指して勉強するなか、地域の社会福祉協議会を通じて施設ボランティアができることになりました。
高齢者施設などでご本人やそのご家族にハンドケアをさせていただくようになり、心に残る人との出会いや思い出がたくさんできました。

誰もがみんな最初はハンドケアってなに?手のマッサージ?お手入れ?ツボ療法?などと言われます。自分自身、言葉で説明していしても、正確に伝えられているのかわかりません。
ですが、そんなに言葉で説明するのが難しいのに、一度でも体験してもらえれば、大抵の場合理解していただけるのがハンドケアの不思議ですごいところです。

言葉がなくても伝わる想い。

それはハンドケアという触れるコミュニケーションのちから。
その奥深さを、私も、毎回少なからず発見し、驚きと感動を覚えています。
ハンドケアは介護や看護の必要な方ばかりではなく、ご家族、友人、知人など身近なところでコミュニケーションを育む手立てとなります。
大人にかぎらずむしろ子どもこそ、ふれあいと心のケアは大切です。昔と比べてスキンシップの少なくなった今ですが、温もりを伝えることの大切さありがたみを伝えていけたらいいなと思っています。

中尾 和子
中尾 和子

ハンドケアマイスターインストラクター/ハンドケアインストラクター

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